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カトリック教会の社会教説をやさしく学ぼう |
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ヨハネ・マルシリオ神父(S.D.B.) |
今年一年、ヨハネ・マルシリオ神父様(サレジオ会司祭)が「カトリック教会の社会教説」をやさしくひも解いてくださいます。神父様は50年前に来日され、現在は下井草教会で司牧活動をされながら、日本の教会のために多方面にわたって活躍されています。
一見難しく、なかなか馴染みにくい社会教説。神父様に解説して頂くことによって教会の教えに対する関心が高まり、学びを深める手掛かりとなるのではないかと思います。どうぞ、ご期待ください。 |
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[7] 「家庭、労働、休暇」
今年5月30日〜6月3日に、イタリアのミラノと言う町で「家庭の国際大会」が開かれました。全世界から多くの家族がミラノを訪れ、100万人の人が大会に参加しました。教皇ベネディクト16世自らが、この大会で掘り下げるべきテーマを取り決め、最後の三日間参加されました。人間の「家庭、労働、休暇」という課題があらゆる見地から、特にカトリック教会の教えの見地から深められました。
ここに、その大会の間に多くの専門家が言われたいくつかの言葉を紹介します:
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家庭、労働、休暇は、聖書の最初の章によると、人間の創造された物語のなかで、神の祝福を授かったものです。神の祝福を受けることにより、社会生活を送る人間にとって、家庭、労働、休暇は基本的で永久的な価値・権利をもつという意味があります。
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この三つの次元は人間にとって神の貴重な贈り物であり、人間の生き方を特徴づけるものです:存在するものの中で唯一人間だけが、自分を無償で与え、人を愛することができるので、交わりのある家庭を築きあげることができるのです。人間だけが、考えを持ち、計画をたて、物事のうちに一番適したものを選び分けることができるので、利益をもたらす労働をすることができるのです。人間だけが、共同体の人々とともに生きることの素晴らしさを経験することができるので、神経を和め、力を回復させる休暇(お祝い・祭り)を楽しむことができるのです。
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この三つの次元は人間のアイデンティティーを築き上げ、この世における人間の喜びが何であるのか、社会の秩序が何によるのかを示すものであります。それは、やはり、家庭、労働、休暇を通して体験する人との交わり中にあります。
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この三つの次元は互に絡み合い、左右し合うものであります。家庭は労働から経済的な支えを受けます。労働は家庭から人手(労働する人)を受けます。家庭と労働は、元気と力をもたらす休暇を必要とするのです。休暇(休み)は一人だけで行うことができないので、共同体と家庭との交わりを必要とするのです。
★ 日々の生活の美しさ、人間個人の命の福利、社会経済の福利は、この三つの次元が確実に守られ、調和していることによって成り立つのです。
★ 現代の経済危機ばかりでなく、文化や宗教の危機が本物の価値の欠如、とりわけ、交わりの不足の原因となるのです。
教皇ベネディクト16世は大会の最後の話に「この三つの次元を調和することは人間らしい社会をつくることであり、経済的実用性の優先が人間の関係を危うくするものである」と諭しました。さらに、キリスト者の日曜日(休暇)の本当の意味を理解するように促しました「日曜日は主の日であり、人間と人間のあらゆる価値の日である:家族が一緒になる日、連帯を示す日、教養を身に着ける日、安らぎの日である」と。
私たちの共同体で、はたして協働者の仕事の割り当て、給料、休暇を与えるに当たって、上の三つの人間の基本的な権利が配慮されているでしょうか。
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