この仕事を希望した動機は何ですか?

大学で福祉を専攻しましたが、小中高すべてソフトボールの推薦でした。ポジションはキャッチャー。何も考えなしに大学の福祉学科に行き、それこそ「ソフトボールで食べていければいいな、実業団とかね」というくらいにしか考えていませんでした。しかし大学スポーツ部では周囲の実力の高さを思い知り、勉強していた福祉に本腰を入れるべきだと感じました。老人福祉が良いのかなとぼんやりと考えていたので、それなら視野を拡げるために実習は児童の分野にしてみようと思いました。部活をしていたので他の学生のように2週間・2週間というような実習期間ではなく、一か月間まとめて時間を取りました。そこでハマりました。おジイちゃん・おバアちゃんもかわいいですし、ホームヘルパーの資格も取っていろいろさせてもらいました。それでも子どもたちに接するのは、将来を見据えていろいろ支援ができるので、私としては「こっちのほうが楽しいぞ」と思ったんです。

子どもたちに接するときに大切にしていることは?

特に子どもたちの意見を尊重すること、ですね。勤続14年ですが、入職当初は「こういう子になって欲しい」「このようにさせなければいけない」という気持ちが3年くらいありました。でも、子どもたちが「こういう風になりたい」と言ったときのお手伝いをできればいいな、と思うように変わってきました。そうするとアプローチも変わるわけで、「それなら、こういう風にしたほうがより良く出来るよ」と。

これからこの仕事を目指す皆さんへのメッセージ

この仕事は営業のような職種とは異なり、成績や結果が目に見えて示されるわけではないので、達成感を感じにくいかもしれません。一日一日の成長はなかなか見られませんが、一年生だった子どもが六年生になって、また中学生が高校生になって、さらに受験生になって、というように「成長をみることができる」のはこの仕事だけだと思います。一緒に泣いたり笑ったり、時には怒ったり、一番近くにいれる大人は私たち、親御さんの代わりにはなれませんが、私たちしかいないんですよ。一人の人間の成長に同伴できる素敵な仕事だと思います。卒園してからもかかわっている子が何人もします。結婚式に呼ばれた時にはホント感動しましたね。

仕事で大変はことはなんでしょうか。

最初は大変かもしれませんね。一人の人間である子どもに接する仕事なので、良い関係を築くことが大切なのです。2歳児から22歳までいますが、その子との信頼関係を築くには二年・三年くらい必要です。私もそうでしたけれど、新人職員の時にすぐに関係性を求めて一方的に厚く行く、というか一方的な愛になってしまいがちです。子どもたちからすると「いやいや、そんなに慌てないでよ」という感じですね。試されている期間が長く、この大人は本当に私の味方なのか、本気で叱ってくれる人なのか、それを見極めるまでに時間がかかります。ですからそこは辛抱しなければならない「必要な時間」であると理解して、その後に絆が出来てからは大きな喜びが待っていますよ。「この先生が言うんだったら、そうしよう」「この先生には何でも報告しておこう」というようになるまでの最初の数年を、同僚や先輩たちの助けを借りて乗り切ってください。