厚生労働省が発表している令和6年版「厚生労働白書」では精神疾患を
抱える方が約586万人と過去最多の数値となりました。
過去最多を更新しているデータは他にもあり、例えば文部科学省が発表する
ところによると、小中学生の不登校数も過去最多の約34万人となっています。
これほどまでに心に関する問題が増えている理由としてよく指摘されるのが
核家族化です。
昔は一緒に住んでいるおじいちゃんおばあちゃんや地域の方とともに
子育てができたけれど、今はお父さんお母さんの二人で頑張らなければいけない。
問題が起こっても他の人には相談しにくく、周りからも見えにくい…。
そのような時代に乳児院はどんな施設であれたらいいのか。
全国乳児福祉協議会が発行している乳児院のパンフレットを開くと
「乳児院は赤ちゃんのもうひとつのあったかいおうち」
と書かれています。そうであるならば
「お父さんお母さんのもうひとつのあったかいおうち」
でもあれたらよいのではないかと想像します。
今年逝去された元臨床心理会会長の村瀬嘉代子先生が過去に
『心の糧としての子どもの時代』という題で講演をなさっています。
簡潔に言えば、思い出される子ども時代の経験が人の生きる力になる
というお話です。
「もうひとつのあったかいおうち」はきっとこのような場所だろうと思い、
講演の結びの言葉を引用します。
「本当に小さな事でもそれを一つ一つすくい上げて、そしてそれを
分かち合って支えていく事で、物事は道が開けていくのではないか。
私は子育てを考える、家族の再生を考えるというのは
こういう所から始まるように思います。」
<引用>
村瀬嘉代子(2014)心の糧としての子ども時代,多摩心理臨床学研究:
明星大学心理相談センター研究紀要/多摩心理臨床研究会編(8),41-56
(2025年2月現在、インターネット上で閲覧できるようです。)